長野旅行記 2日目後半

その他

講演会は前の記事で書いたとおり、整理券を手に入れないと聴くことができない。私は79番の整理券を入手している。意気揚々と会場へ向かい、席に着いた。比較的前の方で、かつ真ん中だ。素晴らしい位置である。
今回の講演は広島大学の特任教授である観山正見先生により行われた。この方は以前国立天文台の台長を務めていたというとても凄い方である。更には仏教の僧侶の資格を持っているとも。不思議な先生だ。
講演は45分に質問15分という構成だったが、どうやら先生、1時間半の予定でスライドを作ってきていたらしい。そういうわけで軽快な講演になっていた。軽快ながらも要旨は押さえ、非常に分かりやすかった。
講演タイトルは「宇宙に生命を探す」。何とも、ロマン溢れるタイトルだ。私はこういうのは大好きだ。宇宙人、実に良い。まぁ実際は宇宙人ではなく、微生物など、自力で繁殖可能な生命体を宇宙空間で探すという話だった。
詳しい話は省くが、どうやら木星の衛星の一つであるエンケラドゥス、これは氷で出来た星であるらしいが、どうやらこの星の氷の表層の下に海(のような空間)があるらしい。探査衛星がたまたま表層から吹き上げる地下水をキャッチしたようで、その成分を分析すると海水だったそうな。更にそこは太陽から離れてはいるが温度が高く、生命が生まれる条件を満たしているという。
生物化学者は「生命は複雑で、条件が揃うだけで生まれるものではない」と言うらしいが、宇宙科学者は「生命は条件さえ整えば生まれる。地球がそうだったじゃないか」という解釈の元議論するらしい。それで、エンケラドゥスには生命が居るかも知れない、という話だった。
質問ではドレークの方程式の話が飛び出した。宇宙に生命が存在する確率を求める方程式である。私も以前興味があって調べたことはある。しかし、あのファクター、かなり主観に左右されそうだが。先生もなかなか困っていた様子だった。
何はともあれ、地球が存在し、この宇宙に惑星。衛星が膨大な数存在することを考えたなら、生命が居る可能性のある星だってあるはずだ。ロマンである。

講演会が終わって会場から出ると、再び長蛇の列を目の当たりにした。話を聞くに、これは次の講演会の整理券を得るための列らしい。なるほど、乗り遅れてしまったか。
仕方がないので諦めて、昼食を食べることにした。しかし、お金はあまりない。無いお金をぎりぎり詰めてここに来ているのだ。しかも昨日、信州蕎麦なんてものを食べてしまっている。どうしようか迷っていると、黄色い野菜が目に入った。
トウモロコシだ。しかも、冷えている。加えて糖度がすごく高いらしい。ふむ、炭水化物は良いエネルギーだ。それに、トウモロコシは大好きである。
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うまひ。

午後はまず、ヘリオグラフを見に行った。太陽を見るための電波干渉計である。
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このような小型の干渉計を84台並べ、太陽のコロナやプロミネンス、黒点の移動といった観測を行うという。ここはレビューの内容も被っていないし、勉強もしていなかったので軽くスタッフの話を聞くに止まった。
そこから少し行くと、今度は見慣れない形状の物体が姿を現す。これは、なんだろう。
IMGP0561
説明を見ると、どうやらこれは野辺山の電波望遠鏡1号機・・・の再現らしい。昔はこのような望遠鏡を使っていたんだなぁとしみじみ。
最後に向かったのは1.85m電波望遠鏡である。外から見た感じはドームのようなのだが、これは雨風から望遠鏡を守るためのシールドらしい。ミリ波を通す素材で出来ているから、ドームからパラボラを出す必要が無いのである。
これを製作しているのは、大阪府立大学の学生らしい。学生主体でコツコツ製作し、現在は一酸化炭素の観測を行っているという。学生がポスター発表を行ってくれていたので、私も気軽に質問することができた。加えて、分野は違えど同じミリ波を扱う者同士だったため、話が通じやすく非常に深い内容まで聞くことができた。 有意義な時間だった。

さて、これで野辺山天文台は大方の施設を回ったことになる。時刻は14時半。少々早いが、そろそろ名古屋へ向かおう。帰りも送迎バスが出て、野辺山駅へと連れて行ってくれた。実にありがたいことである。
駅に戻り、ふとおみやげを買わねばと思い立った。買うならば、研究室にだろう。いつも世話になっているし、量子Ⅰにも買いたい。
少し悩んだ。特に、自分の研究室のものは。先生は甘いものが苦手なのだ。チョコレートやあんこはNG。うーんと考えを巡らせ、ポン菓子を固めて醤油塗って焼いた煎餅のようなものを買った。後日談ではあるが、これは好評だった。量子Ⅰへは「白樺の恋人」なるクッキー菓子を買った。某「白い恋人」のパクリ・・・もとい、オマージュである。それに加えて、先生には野沢菜漬け、自分自身は野沢菜茶漬けを購入。野沢菜はとても好きなのだ。
名残惜しくもないが、長野とはこれでお別れである。だが、ここからが長い。私は野辺山から名古屋まで普通列車で行くことにしたのだ。理由は簡単、お金が浮くからである。
しかし、誤算もあった。田舎の電車だと思って甘くみていたのだ。何と、全く座れない。最後の乗り換えである中津川-名古屋間以外全て立ちっぱなしである。およそ4時間くらい・・・なかなかに疲れる結果だった。
名古屋に着くと、それはもう全く違う光景が私を圧倒した。なにせ、緑がないのである。一面ビルがならび、如何にも都会然とした光景が、明々と輝く光源が、私の目を細めさせた。
宿泊場所は、カプセルホテルである。一畳程度の空間に布団があり、自由に使えるPCが用意されていた。私はこういった狭い場所は大好きである。どこかハムスターに通ずるものがある。飼い主はペットに似るのだ。
この日は前半にテンションが上がっていたことと、帰りの移動で疲れ果てたため、早々に眠りに落
ちた。

最後もはや蛇足だけど続く。

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