知里弥生の無気力日和

知里弥生の無気力日和

小説:新月

私があの施設から逃げ出せたのは幸運だった。走った。転んだ。隠れた。追いかけてくる黒服の目をすり抜け、迷彩服の男達の手を避けた。この日、月が出ていなかったのは僥倖であっただろう。傷は無かった。無かったことになっていた。当然だった。成長等無い。...
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