ダブルクロスリプレイ-鮮血の彼方- その2

ダブルクロス3rd TRPG

※これ以前の内容を読んでいない方は、先にそちらを読むことをおすすめします。

オープニングフェイズ
シーン1 マスターエージェント達の事情 シーンプレイヤー:雨宮沙希
 雨宮沙希はマスターエージェントだ。長大な剣を軽々と振るい、目の前の敵を殲滅するエキスパートである……のだが、最近どうにもやる気が起きない。
そんな中上司に当たる天船巴から与えられた情報は、彼女を突き動かすのに十分な威力を持っていた。

汚いK(以下GM):じゃあ雨宮からね。オープニング始めます。
赤錆(以下沙希):はい、姉です。どうも。侵蝕率は7も上がった。今51。
GM:あなたは以前の事件で”欲望(ネガイ)”を果たしたため、日々退屈な日常を過ごしていました。
沙希:まぁ、そうですね。
GM:この間は大量の実験体を倒したりしていましたが、それもよくある日常ですね。
沙希:今はセルリーダーのお手伝いをこなしてる感じですね。
GM:そんな中で、あなたの元上司である天船巴さんから連絡が入りました。
沙希:……まぁ、電話、取ります。もしもし?
GM:「もしもし、“マスターギガント”さんでしょうか?」
沙希:ですが、何か?
GM:「実はですね、先日私の管理している研究室の実験体がですね……脱走を図りまして」
沙希:……また!? また脱走!? FHの管理はどうなってるの!?(笑)
GM:「結論から言いますと、今回は研究者の暴走ではなく、実験体が研究所を物理で破壊しました」
沙希:……はぁ。つまりは、私と同系統の“実験体”と。
GM:ですね。因みにアガサとは全く関係ありません今回は。
沙希:うちのあのやらかしてくれた奴とは違うのね。
GM:あれとは別件です。
沙希:なるほどね。
GM:「そしてこの実験体の目的ですが、現状は不明。ただ、自身が関わっていた研究施設を襲撃し、尽く“素手”によって粉砕されています」
沙希:まぁ、“実験体”ならば良くあることですよ。
GM:「そしてですね、二つ目の施設が襲撃された時点で関連施設が狙われているとあたりをつけ、私がよくお仕事を依頼しているマスターエージェントの方々に仕事として頼んだのですが、帰ってきた人が一人もいませんでした」
電車マニア(以下博):やべぇ。
GM:「現在マスターエージェントが六名、FHエージェントが数十名単位で被害に遭っています」
沙希:私この事件から手を引かせてもらっても……。
GM:「まぁお話は最後まで聞いてください」
沙希:は、はぁ。
GM:「この実験体に関わっていた研究施設は四つあるのですが、現在この内三つは崩壊。残り一つも襲撃されると予想され、現在そこの防備を固めています」
沙希:なるほど。
GM:「三つ目の研究施設はつい先日破壊されまして、対象の移動手段からして恐らく数日中に最後の研究施設が襲撃されると予想されているのですが、こちらの地図をご覧下さい」と言って地図データが送られてくるよ。
沙希:どうも。
GM:それでですね、三つ目の研究施設と残り一つの研究所の間に、あなたの見覚えのある街があります。
沙希:これは……。
GM:「あなたの弟さんと妹さんが保護されているUGN支部がある街ですね」
沙希:取り敢えず、あの創のバカは暴れさせておいて良いんだけど……分かりました受けますよ、もうっ!
GM:「現在実験体を監視するために、数名の隠密型エージェントを派遣していまして。現在位置はこの街の手前辺りとなっています。今この街近辺のFHセルに、警告と共に何人か人員を割いてもらえるよう連絡をしておりますので、あなたも出撃をお願いしたいのですよ」
沙希:分かりました。因みにうちのリーダーには連絡は?
GM:「当然してありますよ。あなたをお借りする許可も既に取ってあります」
沙希:まぁそうでしょうね。じゃあ、準備して向かいたいと思います。
GM:「一応こちらで把握できている実験体のデータをお送りしておきますよ」
沙希:分析しておきます。
GM:「では、お仕事頑張って下さいね」
沙希:(舌打ちをしながら電話を切る)さて、仕方が無いね。行きますか。と言う訳でこちらの行動としてはUGN支部へと向かう準備をします。
GM:了解。じゃああなたのオープニングは終わりですね。

シーン2 日常と非日常の境界 シーンプレイヤー:吉塚博
非日常とは大抵、何の前触れも無く襲い掛かってくるものだ。これまでもそうであったし、これからもきっとそうであるに違いない。だから、今回もそうだ。警告? そんなものは、言葉にして伝えられた時点でそれはもう非日常に他ならないだろう。

GM:じゃあ次吉塚さんのオープニング入るよ。
博:はーい。侵蝕率は35になった。
GM:ではあなたがいつも通り大学から帰っていると、知らない電話番号から電話が掛かってきます。
博:知らない電話番号の電話は取りません(笑)。
GM:取らないなら取らないで良いよ。
博:いやまぁ、名乗らずに取ってみるよ。
GM:じゃあ、「UGNイリーガルの吉塚博さんか?」
沙希:お?
博:吉塚……まぁ、UGNイリーガルっていうのは何か良く分かりませんけど吉塚です。
GM:「俺は先日お前等の世話になった、FHセルリーダーの羽溪悠次という者だ」雨宮姉さんの上司ですね。
博:あー、居たような居なかったような。あの問題児の姉の上司ですかね?
GM:「その認識で良い。で、だ。前回お前達には借りを作ってしまったからな、今回少々返済しておこうと思ってな」
博:いや何もしなくて良いですよ本当。面倒なことは止めて下さいよ。
沙希:というかよりによってイリーガルに電話したのか。何か魂胆があるよね。
博:何で支部に連絡入れないんですかそもそも。
GM:「支部長には電話が繋がらん。副支部長に関しては、正直もう関わりたくないんでな」
沙希:もうFHから完全に警戒されてるわ(笑)。
博:あいつ(笑)。
GM:「あの支部は俺等よりアウトローな臭いがするんだが。お前も苦労してるよな」
博:あのー、私よりも寺の住職さんに掛けた方が良かったんじゃないですかねぇ?
GM:「連絡がつかなかったんだよ。あいつにも警告をしとこうと思ったがな」
博:警告ですと? 借りを作っておいてその上また厄介なことを起こす気ですかあなたは。
GM:「今回は俺等には非はねぇよ」
博:じゃあどんな事なんですか。
GM:「いやな、俺等のセルじゃないんだが、そこから実験体が逃げ出したようでな。それがどうやらこの街に向かってきているらしい。破壊活動を行いながら進んでるらしいから警告しておこうと思ってな」
博:それ思いっきりあなたの所為ですよねぇ? 実験体作ったって。
GM:いやこいつは関係ねぇよ!
沙希:別のセルの話だからね? 全く関係無いよ。うちのセルの実験体は私と一部を除いて殆ど処理されちゃってるから。
博:あなた達の管理はいったいどうなってるんですか? ウチなんて頑張ってあの厄介者をぐるぐる巻きにしたりして抑えてるっていうのに。
GM:「そう言われるのは耳が痛ぇが、今回のは俺等の手が届かない範囲なんでなぁ。で、話を続けるぞ? 今回逃げ出した実験体はどうやら“マスターマインド”っていうマスターエージェントが管理してたらしいがな、そいつの部隊が先日戦闘を行ったらしい。……見事に全滅したようだが」
博:……え? 部隊全滅。
沙希:マスタークラスなのにね。
GM:「正確に言うと、全滅ではないらしいが。二個小隊程度の人数が居たらしいが、生き残ったのはどうやら二名程度だ。先ほどこちらに保護を求めて連絡を寄越してきた」
博:ひえぇ、二人しか残らなかったのか。
GM:「一人は瀕死の重傷で、もう一人が連絡を入れてきたっぽいな。命からがら逃げてきた感じだ」
博:関わらないようにしよう。
GM:「でだな、この実験体の目的は俺等FHの実験施設の襲撃と目されてる。お前等UGNには被害は及ばないとは思うが、まだ行動原理が色々不明だ。だから警告をした。お前等の支部のメンツがやばいのは知ってるが、実験体に勝てる保証はどこにもねぇからな」
博:はぁ。
GM:ちなみにFHがコンピューターでシュミレーションを行った結果、前回暴れていた“実験体No.00”を軽々凌駕する力を持ってるらしいです。まぁアレは雑魚も大勢いたけど。
沙希:あれはどっちかと言えば適当な失敗作のかき集めだからなぁ。 ※リプレイ・狂気の実験参照
GM:とにかく単独では間違いなくあれより強いそうです。
博:分かりました。取り敢えず近づかないようにしておきます。
GM:「じゃあ気をつけろよ」というところで電話が切れます。
博:くそぅ、あいつらどんな管理体制してるんだよちくしょう……。
沙希:FH故致し方なし。
GM:で、吉塚さんは今後どう動きますか?
博:支部に立て篭もります。
沙希:自分から危険な所に飛び込んで行ったか。
GM:支部の方が防備はあるけどね。ここ最近副支部長が私財を投じて強化してるし。
沙希:あれか。前回の事件の修理も兼ねてか。
GM:うん。副支部長は個人的にいろんな所に貸しがあるからそれでね。
沙希:建築関連のヤーさんとかにも?
GM:そういうのもあるね。色々と交渉技能によってね。まぁそんな感じで吉塚のオープニングは終わりです。
博:ひえぇ。

シーン3 戦闘痕 シーンプレイヤー:山田玲仁
 相変わらず、山田玲仁の周りでは事件が多い。常連客が事故死してレネゲイドビーイングが生まれたり、オーヴァードの少女に命を救われたり、どうにも事件に巻き込まれやすい体質のようだ。そして、今回もまたそうであった。

GM:次は山田のオープニングなんだが……今回は居ないのでマスターシーンとして進めさせてもらうぞ。

山田玲仁は副業の占いをするために、街外れの路地を歩き回っていた。
と、唐突に《ワーディング》の気配がする。オーヴァードとして興味に駆られた彼は気配の方向へと走っていく。
そこには、激しい戦闘の跡があった。大きく抉れた道路、崩れたブロック塀、折れた樹木。そしてその荒れ果てた惨状の中心に、一人の少女が倒れていた。
山田は少女の元に駆け寄る。少女は朧げな意識の中で、「あなたはだぁれ?」と弱弱しく言う。

沙希:(山田になって)俺は、寺の住職だ。
GM:まぁそんな感じかな(笑)。

長い黒髪の印象的な、美しい少女だった。年齢は恐らく、16、7歳といった所だろうか。それだけ見れば、ごく普通の美少女で済んだだろう。
少女には、左腕が無かった。怪我などではなく、元からそこには何もなかったかのように。
山田は少女に名前を聞いた。消え入りそうな声で少女は「カナタ」とだけ零すと、そのまま意識を失ってしまう。
このままにしておく訳にはいくまい、と山田は少女を抱きかかえる。向かう場所は、一つしかない。展開された《ワーディング》に、戦闘痕、加えて気を失っている片腕の少女。このような理解不能な状況において、取るべき行動は一つと決まっていた。
迫りくる非日常をひしひしと感じながら、山田玲仁はUGN支部のある方角へと足を踏み出した。

GM:と、いう訳でマスターシーンは終了です。

続きます。

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