※これ以前の内容を読んでいない方は先にそちらを読むことをおすすめします。
クライマックスフェイズ 踊る、踊る シーンプレイヤー:All player
踊りましょう、踊りましょう。世界はこんなに眩しくて、
壊しましょう、壊しましょう。世界はこんなに窮屈で、
遊びましょう、遊びましょう。世界はこんなにも、私達には辛辣なのですから。
GM:まずシーンインどうぞ。
博:はーい、7。96になった。
沙希:2。今85。
GM:まぁそんなもんだろ。吉塚はさっき攻撃してたからな。ではクライマックスフェイズは毎度毎度の廃ビルでございます。
沙希:またですか。この街どれだけ廃ビルあるんですか。
GM:毎回毎回同じ場所で戦ってるんだよ。
沙希:はぁ。
博:まぁ支部じゃないだけ有り難いね。
沙希:と言う訳で、居るの?
GM:居るよ。廃ビルの屋上に。
沙希:屋上て、穴空けてぶち破った感じ?
GM:飛び上がった感じ。
沙希:屋上に穴空けられてシーンから離脱とかさせられそうな予感が……。
GM:流石にそんなことはしないよ、戦闘中に。やっていいならやるけど。
沙希:止めて(笑)。
GM:で、吉塚がここまで辿ってきたんですが、屋上で楽しそうに踊っている姿があります。
沙希:……ほう?
博:踊ってるのか?
GM:踊ってるよ、楽しそうに。
沙希:じゃあそこに乗り込むかね。《軽功》を使って壁を駆け上る。で、対峙しようか。
GM:では、少女は楽しそうに踊っていたのですが、現れたキミ達を見て、「あら、こんにちは」と挨拶をしてくるよ。
沙希:黙ってるね、こっちは。
GM:黙ってるの? 「どうしたの? 皆さん殺気立って」とにこやかに声を掛けてくるけど。
博:うぜぇ……うちの支部を崩そうとした癖に、と言ってる人が居る(笑)。
GM:副支部長としては、部下をズタボロにされたことの方がイラついているんだよ?
博:意外!
沙希:私は……何だろう、なんかあんまり乗り気がしない。こういうの見ると。
GM:良いんじゃない? 乗り気がしないなら少女このままどこか行ってしまうよ?
沙希:流石にそれは色々な方面から怒られそうな気がする。そうだな……うん。トツカを振り向けて、申し訳ないけれどここで処分させてもらうよ。
GM:「どうしてそんなことを言うの? 私はただお外で遊びたいだけなのに」
沙希:なるほど。これだからFHは、これだからFHは……ごめんね。
GM:「どうしたのかしらね。気付いたら地下に閉じ込められていて、気付いたら身体があちこち欠けていて。やっとお外に出られたから無くなってたモノを取り返して、これから自由に遊ぶところなのに、どうして邪魔をするの?」にこやかに言います。
沙希:私もにこやかに笑うよ。どうしででしょうね、と言いながら。
GM:「そうよ、私は折角自由になれたんだから。だから私は、全てを壊すの。今までずっと我慢させられたんだから、良いよね? 全部壊して、全部食べちゃって、それでそれで全部全部、全部綺麗にしてあげるの!」
沙希:……全てを壊すのが目的なら、まず私達を壊せば良いんじゃない?
GM:「今は折角気分が良いから、見逃してあげてもいいのに」
沙希:流石に苛ついて、地面にトツカを叩き付ける。
GM:「良いわ、そんなに壊されたいのなら……掛かっていらっしゃい?」そういった少女の得も言われぬ微笑みの中に狂気を感じたあなた方は……衝動判定です。
沙希:これはやばいなぁ、私も今笑ってるんだよな。
GM:どうぞ。目標値は9です。
沙希:〈意志〉5に思い出の一品……サヤカの写真があるからね。22出て余裕で成功。
博:俺はまぁ失敗しても……9ぴったりで成功。
GM:一応戦闘に参加する南条と副支部長もやっとくか……うん、全員成功だね。だが侵蝕率は上げてもらう。
沙希:15上昇、100か。
博:11……107まで上がった。
GM:では少女がEロイス、“悪意の伝染”使用。
沙希:封鎖か。
GM:「折角楽しく遊ぶのだから、逃げたりしないでね」と言って手を広げると、屋上のフェンスが伸びあがって周囲を囲みます。
博:に、逃げるっ。
GM:逃げられないよ。
沙希:逃げないよ。ここで叩き潰してあげるから。
GM:では、戦闘開始です。
◆第一ラウンド
【行動値】
周防克也 ……29
吉塚博 ……25
雨宮沙希 ……13
南条理 ……11
カナタ ……3
GM:行動順は副支部長が一番かな。
沙希:ハヌマーンは流石に速いな。こっちセットアップ無し。
博:《ヒュドラの怒り》を使います。あと《サポートデバイス》も。
GM:副支部長は《戦術》、南条さんは《螺旋の悪魔》かな。では少女はセットアップ、《女王の降臨》から《狂戦士》を自分に使います。
沙希:……ソラリスピュア?
GM:いや、エグザイル/ウロボロスだよ?
沙希:《女王の降臨》!? どうなってる……。
GM:Eロイス“餓えたる魂”。先ほどぶっ倒したFHエージェントの方々からエフェクトを吸収しております。
沙希:余計な事を……。うん、仕方ない。《狂戦士》も奪ったやつ?
GM:その通り、《原初の白》ではないね。と言う訳でC値-1、ダイス8個増加。で、特に動きが無ければイニシアチブに《スピードフォース》を使用。
沙希:ハヌマーンピュアのですね。どんだけ奪ってるの!?
GM:だってピュアのも奪えるってあったから奪えるだけ奪った。ではイニシアチブに行動します。これは《加速する刻》と違って追加行動ではないです。ただの先取り。いくよ、マイナーで《原初の青・完全獣化》。
沙希:まぁ、そうね。
GM:で、メジャーアクションは《背教者の王》に《原初の赤・飛礫》、《コンセントレイト:ウロボロス》。ダイスの数が……うわえげつねぇ、45個。
沙希:45個(笑)。
GM:侵蝕率は300%だから《背教者の王》で攻撃力固定値が24。対象は吉塚。
博:勝てる気がしない、即死やわ。
GM:達成値は……92!
博:無理に決まってるんだろ! 暴走中だぞ!
GM:ダメージは88かな。
博:即死。ボスのロイスを切りますか。HP13で復活。
GM:では次、副支部長かな。自身含む全員に《風の渡し手》《アドヴァイス》《弱点看破》。ダイス更に+5個、C値-1、攻撃力+9。
沙希:助かる。
博:ダイスは結局+10個か。
GM:では吉塚の番どうぞ。
博:えー、撃ちますかね。まず《ハンドレッドガンズ》。やってやる、《コンセントレイト:モルフェウス》《ペネトレイト》……どうしましょうかね。《うごめく弾丸》に《踊る髪》も入れますか。
GM:さっきの攻撃は《飛礫》だったし良いかもね。
博:で、オートアクションで《魔弾の悪魔》《オリジナルツール》《パーフェクトコントロール》だね。
沙希:全力だね。
GM:果たして吉塚は帰って来れるのだろうか。ところで雨宮から渡された薬品はどうする?
博:今回は……良いかな。まだ使わない。ダイス34個、達成値固定値は44だぜ。攻撃力は33でC値は6かな。
沙希:ぶち抜け、吉塚さん!
博:いっけーマグナムぶっちぎれー! ……達成値は117!
GM:117? まぁこちら避けないよ。受けるよ、リアクション放棄。
博:ダメージダイスは12個か。ダメージは……88点!
GM:88点。なら予定通り初回に使わせてもらいますか。《異形の捕食者》を使用。ダメージを49点軽減。《超人的弱点》でダメージ増えてるから57点食らうかな。
沙希:まぁ、軽減されてそれならそこそこだろう。
GM:で、バステあったよな? オートで《状態復元》使用。HP5点消費して解除。
博:5点ダメージを追加したと思えば十分かな。
GM:で、薬品は使わなかったで良いんだね? 次は南条さんかな。マイナーでジェネシフト。
沙希:あっはい。
GM:侵蝕率が100%を超えましたので、人格が/反転/します。
沙希:うわぁ。
GM:《原初の赤・振動球》《原初の黒・プラズマカノン》《コンセントレイト:ウロボロス》、いつものコンボで。
沙希:コンボ少ないなぁ。
GM:何? これ以上必要? ダイスは27個でC値6。達成値は、丁度60。ダメージは105点かな。更にオートで《喰らわれし贄》を使用。以降攻撃力+12されます。
沙希:南条さん相変わらず火力おかしいな。次は私かな? じゃあ行くぞ? マイナーで《ライトスピード》。メジャー2回行います。メジャーで《物質合成》。トツカ2本を……合成する! いつも通り5メートル級の大剣が姿を現す。因みにこの大剣の攻撃力は38だ。
GM:ほう。次のラウンド絶望の準備をしておこうか。
沙希:次のメジャー行くぞ? 斬り掛かる! 《コンセントレイト:モルフェウス》《ペネトレイト》《一閃》《マシラのごとく》、以上。侵蝕率は122になった。ダイスは22個、C値6で……〈白兵〉が-5だから、59。やっぱマイナス修正は痛いな。
GM:文句を言うな。
沙希:ダメージダイスは38。攻撃力固定値は支援込みで117あるから155点。《超人的弱点》で+20されて175点。大剣で一発、斬り掛かる。
GM:流石にそれは効いてるねぇ。ではオートアクションで《滅びの遺伝子》を使用。40点ダメージを受けてもらいますか。
沙希:耐えた。残り12で。くっ、何て奴なの。
GM:では少女も行動してるしクリンナップに《高速再生》で130点回復。
沙希:チッ、こちらの攻撃を殆ど吸収したか。
GM:“マスターギガント”が斬り飛ばした肉片が逆再生のように戻っていく。一ラウンド目終了です。「やっぱりお外は楽しいわ。こんなに強い人がいるなんて!」
沙希:歯軋りするな、流石に。
GM:では一ラウンド目終了です。
◆第二ラウンド
【行動値】
周防克也 ……29
吉塚博 ……25
南条理 ……11
雨宮沙希 ……8
カナタ ……3
GM:二ラウンド目開始です。セットアップ、《ヴァイタルアップ》使用。HP200点上昇。これでほぼ傷が消えたようなもんだ。
博:えー、マジか!? 倒せる気がしない。
沙希:吉塚さん、やばいですよ。
博:俺これ以上やると侵蝕率上がりすぎて帰って来れる気がしない。
GM:あ、あと南条さんは面倒くさいので以降ダメージ固定値120点として扱います。
沙希:あぁ、なんか凄い。じゃあ何とかやっていくしかないな。叩き潰してやるよ。
GM:で、セットアップ他に何かあります?
沙希:私は無いよ。
博:俺はどうするかな。《サポートデバイス》はクソ重いんだよな……《ヒュドラの怒り》だけで。これで150突破ですよ。
GM:じゃあイニシアチブ誰も無いなら副支部長の支援からかな。《風の渡し手》がもうないから……姉を支援するかね。いつも通り《アドヴァイス》と《弱点看破》を。
沙希:イラッとするよ☆
GM:次は吉塚、の前に南条が《時間凍結》を使って割り込みます。120点ダメージ。では吉塚さんどうぞ。
博:薬品を使うかな。あとエンブレムで取った”ブレイクバレット”も使います。ダメージ1D点上昇。《コンセントレイト:モルフェウス》《ペネトレイト》に《魔弾の悪魔》かな。《うごめく弾丸》も使うか。《オリジナルツール》で達成値を底上げしよう。これで侵蝕率164でレベルアップ! 達成値は……81!
GM:当たる当たる、ダメージどうぞ。
博:ダメージは85点、追加で装甲無視で20点追加!
GM:重圧は《状態復元》で解除。これで合計110点かな。で、薬品有か。当たると少女の再生が止まり苦しみ出します。「何なの、これは、一体!?」という事で《加速する刻》で割り込みます。
沙希:やっぱりか。
GM:《爪剣》《死神の爪》《命の剣》《背教者の王》《コンセントレイト:ウロボロス》、そして《神速の鼓動》。
沙希:《死神の爪》入ったー!? シーン攻撃にリアクション不可か。
博:まぁ俺には関係無いです。
GM:達成値は56。まぁリアクション不可だしな。ダメージは《異形の捕食者》で上がってるし167点!
沙希:あはははは……。
博:死にますね。
GM:シーン攻撃を食らったため南条と副支部長はここで脱落します。あ、南条さんは散り間際に《ラストアクション》で120点叩き込んでくれますが。
沙希:うん、こちらは”ゼピュロス”のロイス、じゃないタイタスをそのまま昇華する。
博:えー……”ゼピュロス”のを。
GM:副支部長の扱い酷くね!?
博:だってどうでも良い順に切ればいいんでしょ?
沙希:……そうね、ここで少女のロイスの感情をP:同情にしとくよ。似たような境遇だし。
GM:まぁ完全に壊れてるけどね。
沙希:こっちは無事だったんだよなぁ。では、イニシアチブに《死神の疾風》を使う。さて……行きます。トツカを、構え直して、「ごめん」と言いながら。さっきのコンボから《マシラのごとく》を除いたやつで。
GM:副支部長の置き土産は残ってるぞ。
沙希:ならダイス27個か。……達成値47。
GM:当たるよ、避けないから。
沙希:ごめんと一言言って切りつけるよ。ダメージは、120点。+20で140点。
GM:ほう……ほう! 惜しいね、累計ダメージ今502。
沙希:バカのロイス切っとけば良かったー!!
GM:流石に80点はロイスだけじゃ無理だろ(笑)。
沙希:そうね。5Dプラスだからね。
GM:では本来の手番で少女が動くよ。目の前に居る雨宮姉に殴り掛かるよ。
沙希:うん、避けないよ。
GM:《爪剣》《命の剣》《背教者の王》《コンセントレイト:ウロボロス》。
沙希:トツカを、目の前に突き立てて構える。避けるつもりは無い。
GM:達成値は……回らねぇ、74。
沙希:ガードもしない。受け止める。
GM:ダメージは150点だね。
沙希:ぐっ……オッケー、当然立ち上がるよ。
GM:誰のロイスを切るん?
沙希:タイタス化してるのがもう一つあるじゃない?
GM:“マスターマインド”ですね(笑)。あのクソババァっつって起き上がるわけか。ではクリンナップ、《高速再生》が使えないので、「あぁ……傷が、傷がぁ!」と言ってます。もう少しで朽ちそうですね。では次ラウンドです。
◆第三ラウンド
【行動値】
吉塚博 ……25
雨宮沙希 ……8
カナタ ……3
GM:ところで二人とも残りのロイスと侵蝕率は?
沙希:こっち4つ。侵蝕率は131。
博:俺も4つ。侵蝕は164だ。
GM:本当は薬品持ってる吉塚を狙いたいところだけど、ここはGMの優しさで雨宮を狙うか。
沙希:これは嬉しいけどな、割と。
GM:セットアップ何かある? こちらは《女王の降臨》からの《狂戦士》。
沙希:吉塚さん、《ヒュドラの怒り》は要らない。
博:分かった、セットアップはしない。
GM:ではイニシアチブ、《スピードフォース》で割り込むよ。先ほどと同じコンボで雨宮姉に攻撃。ダイスは《狂戦士》入って53個、C値6。
沙希:良いよ、受け止めてあげる。
GM:達成値は……113ですね。
沙希:分かった、受ける。これでトツカは壊れても良い……いや困るけど。
GM:ダメージは、うわすげぇ212点。
沙希:倒れない。トツカを杖にして踏ん張る。弟のロイスを切る。少女のロイスは……ちょっと切れない。
GM:いやー、かっこいいねぇ。全身ボロボロになりながら、それでも倒れないか。
沙希:同じ”実験体”としてはね。私は引けない。
GM:では吉塚さんどうぞ。言っておくが、ダメージが通らなければ薬品の効果は出ないからな? 悪いがこちらは最後の切り札を切らせてもらうぞ。
沙希:まぁダメージは通るでしょう多分。
博:まだ薬品2回使えるし最悪次ラウンドが……。
GM:それは流石に厳しいぞ。
博:行きます。《コンセントレイト:モルフェウス》《ペネトレイト》に《魔弾の悪魔》《オリジナルツール》。あと一応入れておくか、《うごめく弾丸》。
沙希:“ブレイクバレット”も使ってください!
博:使う! 侵蝕率が14上がって178だな。帰って来れるかな……達成値は、77!
GM:最後だし、ガード。《原初の紫・魔人の盾》。ガード値40です。
沙希:うわ、これきついかな……。
GM:一点でも超えれば良し、通らなければ死なない上に《高速再生》します。
博:ダメージダイスは9個、固定値が16か……。
GM:期待値で余裕や。
沙希:頼んだ、吉塚さん。
博:ダメージは……65!
GM:ならば《状態復元》も入れて計30点か。耐えたな。最後にイニシアチブでちょっとだけ嫌がらせするか。《異形の転身》《縮地》で吉塚の方に移動、するだけ。
沙希:何を……。
GM:次があれば吉塚を叩き潰すという意思表示。
沙希:これは、後ろからになっちゃうかな。仕方ない。じゃあイニシアチブに《死神の疾風》使う。で、《コンセントレイト:モルフェウス》《ペネトレイト》《一閃》、そして入れておくか、《浸透撃》。以上。
GM:了解、どうぞ。
沙希:侵蝕率13上昇、今146かな。行くよ? 達成値は……41。
GM:まぁ、当たるよ。回避しないから。
沙希:ダメージは8Dか。トツカの効果も入れて、124点!
GM:124点、倒れるか。
沙希:これは背後からだね。頭上から力任せに一閃。
GM:断末魔すら残さずに、砕け散るね。
沙希:砕け散るか。
GM:使用した薬品の効果が出ているのか、肉体は再生する様子はなく砕け散ったままです。
沙希:目を閉じて、さよなら……と言っておく。
GM:ではこれでシナリオ終了です。お疲れ様でした。
バックトラック
GM:ではバックトラックです。言った通りEロイスは7個。まず7つ振れー!
沙希:7つか。余裕じゃないかな。……うん、46。これで100になった。
GM:出目良いなぁ。
沙希:私、日常好きだから。ロイス分は19減って81。ただいまっ!
博:俺はどうかな……わーいわーい、37だよわーい。今141。
GM:ロイス残り4つなら、倍振りすれば行けるんじゃないかな。
博:えっと……。
沙希:これは、微妙な感じ?
博:……31(一同笑)。
沙希:追加振りだね(笑)。
博:4個で……21だね、89。戻ってきたー!
GM:おめでとうございます。吉塚には向いてないシナリオだったな。ではお疲れ様でした。
エンディング
「……さよなら」
バラバラに砕けて、崩れていく。雨宮沙希はそこに大剣を突き立てる。まるで墓標のように。風が吹くと、それもサラサラと溶けていく。
「終わりましたね、ようやく」
埃を払いながら言うのは”ゼピュロス”こと周防克也。
「助かりました。あなたが居なければ倒し切ることはできなかったと思いますよ、沙希さん」
「”マスターギガント”、です。私はサヤカを守る為に戦っただけです、感謝される謂れはない」
険悪な空気はいつものことだ。周防はやれやれといった様子で掌を上に向ける。
「あなたはそう言ってもこちらは本当に感謝しているんですよ」
雨宮沙希は答えない。目を瞑り、何かを想っている。
暫く沈黙が続き、雨宮は目を開けた。
「では、私はこれで」
「おや、もう行かれるのですか? 折角ですので我が支部で療養でもされては如何ですかね。あれだけの攻撃を真正面から受けていましたしね」
「いえ、結構ですので……」
周防はここで雨宮の声を遮るように指を鳴らした。瞬間、悪寒が走る。
(これは……レネゲイドの密度が急速に? 戦闘中も気になってたけど、一体)
「南条、雨宮さんを支部へお連れしなさい」
「南条さん……?」
意外な名前が飛び出し、南条の方へと向き直る雨宮。そして、絶句する。
明らかに様子がおかしい。レネゲイドの影が急速に集まり、螺旋を描く。その笑みは悪魔の如く。
「な、南条さんっ!?」
思わず跳び去る。僅かに遅れて、南条はその位置に移動していた。挙動が、おかしい。
「もうっ! この支部の連中はどうしてこうもこうも妙なのばっかり……!」
全力でビルから跳び去る。後方を見やると、南条が追撃とばかりに灼熱の衝撃波を放つのが見えた。
「うぅ……サヤカのためにUGNの門下に行くのも考えたけど、やっぱりFHに居た方が平和かも……」
着弾する衝撃波をギリギリでかわしながら、雨宮沙希は涙目でその場から逃げて行った。
「逃げられましたか、まぁ良いでしょう」
ハヌマーンの能力を全力で使われたならば、逃がしてしまうのも無理はない。周防は余裕の表情で口元を曲げ、南条を呼び止める。二発目を放とうとしていた南条の身体からレネゲイドが急速に失われ、ぐらりと揺れた。
「あれ……あぁ、またあいつか」
「えぇ、今回も良い働きでしたよ」
若干不服そうにしている南条に労いをかけ、今度はぐったりしている吉塚に向き直った。
「吉塚君もお疲れ様でした」
「……報酬はあるんでしょうね?」
「今回は支部の修理費に大金をつぎ込まないといけないので……無し、ですかね?」
「ひでぇ!」
「大損害ですから我慢してください。では、帰りますか」
「ぬぅ……っと」
唐突に吉塚の携帯が鳴った。ディスプレイを見ると、非通知の文字。溜息混じりに通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「俺だ、羽溪だ。どうやら終わったようだな」
「やっぱりあなたですか。あのですね、こっちは甚大な被害が出てるんですよ。支部は穴ぼこだしこっちの報酬は出ないし、どうしてくれるんですか!」
怒鳴るが、向こうは困ったような声になる。
「いや、俺に言われてもなぁ。別のセルの実験体の話なんで、どうにもできん。ま、特攻薬持ってきてやったし”マスターギガント”の戦力も貸してやったんだから、これで今回の件については許してはくれんかね?」
「あー、チクショウ。じゃあ今度からは問題起こさないで下さいよ本当」
善処するよ、と羽溪は言った。大抵「善処する」と言った場合には自体が好転しないことを吉塚は良く知っていたが。
盛大に溜息を吐き、乱暴に電話を切った。これ以上関わりたくないという意思を込めて。
FHに逃げ帰った雨宮沙希は、すぐさまどこかに連絡を取る。数秒のコールの後、よく聞き覚えのある声がスピーカーから響いてくる。
「おや、”マスターギガント”さん。どうしまし……」
「死ね」
一言だけ言うと、通信を切った。連絡の相手は勿論、”マスターマインド”天船巴だ。
「……やっぱりFHも平和じゃないかもね」
自室のベッドに横になる。疲労困憊の今の状態では、少し目を瞑っているだけで睡魔に意識を刈り取られそうになる。
と、そこに扉をノックする音が。
「沙希、今良いか?」
「……良いですよ」
扉が開き、姿を現したのはFHセルリーダー、羽溪悠次だ。彼は手に持っていたコーヒーの缶を雨宮に放り投げる。
「お疲れさん。今回はどうにも天船の奴に嵌められたっぽいなぁ」
「えぇ、もう散々。他のエージェント達も無駄に死んでるし。あ、コーヒーありがとうございます」
「おう、飲めや。暫く休憩だ。俺も調べまわって疲れた」
「リーダーのお陰で助かりましたよ。流石、レネゲイドの研究家は違いますね」
「それしか取り柄がねーからなぁ。前線は完全に部下頼りだよ情けねぇ」
申し訳なさそうにしている羽溪を見て、雨宮は思わず笑みをこぼす。
「……まともな人と喋るのって、良いですね」
「あ? なんだそりゃ」
「リーダー、これからもよろしくお願いしますね」
「改まってどうした、気持ち悪いな」
ふふっ、と笑いながら、雨宮沙希は熱い缶の蓋を開けた。小気味の良い音が鳴り、嫌な事件は少しの間、頭の中から消えて行った。
と、いう所でリプレイ終了となります。如何でしたか?
今回のリプレイは僕等の卓にしては珍しくかなり真面目な内容となりました。個人的には一貫して真面目なのは書きやすい反面、若干刺激に欠けるかなぁと思ったり。ま、その分エンディングではっちゃけさせてもらいましたが。
では、次回作でまた会いましょう。・・・あ、次回はギャグ期待して良いですよ?
それでは、またー。
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